アニメーターになるには

高校生がアニメーターになるにあたって必要な資格や学歴は一切ありません。問題なのは資格や学歴の有無などよりも、アニメの絵を丁寧に描き上げられるだけの画力があるかどうかです。しかし、一概に画力といってもアニメーターの世界は、ただ上手いだけの画力では到底務まらないのが現状です。
プロのアニメーターとして活躍する為には画力に加えてデッサン力や画面構成力などのスキルが必要になるので、これらのスキルが学べる学校に進学するのが得策です。アニメーション学科がある大学や専門学校、美術大学などでアニメーターとして必要な基礎知識を学んでからアニメ制作会社やプロダクションなどに就職するのが一般的です。
しかし、学校によって学べる年数やカリキュラムなど大きな違いがあるので、自分が効率良くスキルを身に付ける為にも、それぞれの学校を比較して選ぶ必要があるでしょう。また、アニメーターは基本的に20代前半を中心に若い人が求められている傾向にあります。
これはアニメーターという職業が過酷な労働環境にある為、年齢を重ねた人だと体力的に厳しいと言わざるを得ないからです。学校を卒業しているからといって確実にアニメーターとして採用されるわけでもありませんし、必要最低限ののスキルがなければ人手不足の会社であってもむやみに採用するわけにはいきません。
アニメーターはその過酷な労働環境から、動画や原画を長時間描き続けられるだけの忍耐力がなければ挫折してしまう可能性があります。収入も忙しさに見合っているとは言えず、本当に絵を描くのが好きでなければ長続きしないでしょう。したがって絵を描くのが好きかどうか、長時間労働に耐えられる忍耐力が求められます。

アニメーターの主な仕事は、アニメーション制作の工程の中で作画を担当することです。
キャラクターや背景を1枚1枚丁寧に描き上げるのが仕事ですが、シナリオや企画の指示に沿った絵を描き上げることが一番の目的です。アニメーターが担当する作画には動画と原画の2種類がありますが、アニメーターになりたての人は動画の制作から行います。
アニメーターは長く経験を積むことによってステップアップが可能な職業でもあり、最初は誰でも原画の間の絵を描く動画を制作することになります。動画制作は基本的に2年間ほど携わっていれば原画に携わることが出来るようになりますが、長らく動画制作に携わる人もいます。
原画を描き続けるようになり、実力が身に付いていくとさらにステップアップして作画監督という立場になることが可能です。作画監督はアニメーターをまとめるリーダーであり、動画や原画をまとめてバラつきのない統一感がある作画に仕上げます。

アニメーターの収入が低いと言われているのは、この職業が基本的に歩合制となっているからです。アニメーターは基本的に正社員や契約社員として雇用されることが少なく、最初から固定給が支払われるケースはごくまれです。
動画なら1枚150円から250円程度、原画なら1枚あたり2000円から2500円程度となっており、多くの収入を得る為には誰よりも多くの作業量をこなさなければならないということになります。しかし、慣れない新人のうちは頑張っても月に10万ほどしか稼げないことも多く、いかに経験を積んでステップアップしていけるかが多くの収入を得ることに繋がるでしょう。
また、これらに加えて待遇面も良くありません。各種手当や福利厚生などは当然確保されておらず、残業代や深夜労働手当なども支給されないので、時間外労働をどんなに頑張ったとしても収入には結びつきません。
このことから、アニメーターは必然的に過酷な環境下で働かなくてはならないのです。

アニメーターの評判はそこまで高いわけではありません。
上記のような過酷な労働環境下でひたすら作画を描き続けることから、本当に絵を描くことが好きでなければ続けられない職業です。やりがいを感じられる職業であることには変わりませんが、それでも同じ年代の平均年収より低い環境下で働き続けるのは予想以上に厳しいものでしょう。

アニメーターの将来性は、いかに過酷な労働環境に耐えながら諦めずに経験を積めるかが重要です。
新人の頃から厳しい環境で働かなければならないとはいえ、誰もが簡単にステップアップしていけるわけではありません。現場を指揮する作画監督でさえ厳しい労働環境に耐え抜いて実力が認められた人であり、逆に言えば誰もがステップアップ出来るチャンスがあります。
今は確かに労働環境が厳しいですが、これから環境が改善される動きがあるのも確かなので諦めずに頑張れるかどうかが試されるでしょう。