歌舞伎役者になるには

高校生が歌舞伎役者になる為には、基本的に歌舞伎役者を養成する学校を卒業するか、歌舞伎役者の弟子になるしか方法はありません。歌舞伎役者は元々世襲制度が非常に根強い為、歌舞伎役者の子として産まれない限り、すぐに歌舞伎役者として活動するのは厳しいでしょう。

しかし、道のりは遠いものの、世襲の枠から外れた場所からでも歌舞伎役者になるのは不可能ではありません。ただし、歌舞伎役者が弟子を取るというケースはそう多くない為、基本的に歌舞伎役者を養成する学校に進学することになるでしょう。

歌舞伎役者を養成する学校は伝統芸能伝承者養成所という国立劇場に付属している学校に進学して2年間みっちりと歌舞伎役者に必要な数多くの知識や技術を学ばなければなりません。養成所に進学する為には2年毎の1月から3月の間に応募し、4月に実技試験や面接、健康診断などを行います。

ここで注意しておきたいのが、面接や健康診断を行ってもその時点で合否が決まるわけではないということです。そのまま応募した人達は研修に参加することになり、6ヶ月以内に適性があるかどうかを審査員が見極めていきます。適性があるということで合格したら、正式に養成所に入学することが出来ます。

養成所では主に歌舞伎役者として活動する為に必要な発音や発声、化粧のやり方、踊りや体操、作法、様々な楽器、日本舞踊、衣装から立ち回りまで非常に多くのことを学んでいきます。こうした基本的な人間性や伝統芸能に必要な素養を培った上で日本俳優協会に入会します。

日本俳優協会に入会した卒業生は伝統歌舞伎保存会という協会が預かるという形で活動することになります。ただし、活動するといってもいきなり舞台に上がった経験がない人が活躍出来るわけではありません。最初は端役としてセリフがない役を演じ続ける日々を送ることになる為、そこから活躍するのは非常に難しいでしょう。

歌舞伎役者の主な仕事は、舞台に上がって演目を演じ、観客を楽しませることです。

とはいっても、プロの歌舞伎役者でも日々の稽古を欠かすことはありません。次に公演する演目を完璧にこなす為に踊りやセリフを完璧に覚え、音楽に合わせて自分の役を演じ切ることが非常に重要です。もちろん演目中は一人で突っ走るようなことがあっては絶対にいけませんし、逆にセリフが飛んだりしてもいけないので日々の稽古で完璧に演技を学ばなければなりません。

ここまではプロの歌舞伎役者の仕事ですが、無名の役者や弟子は常に何があってもいいように舞台袖に控えている必要があります。舞台袖に控えている人は黒子と呼ばれる黒い服を着た常後人になり、万が一事故が起きたり演技中に素早く衣装を着替える時などに素早く行動します。

舞台以外では、師匠の身の回りのお世話も重要な仕事です。衣装の着付け方や様々な小道具の準備など、師匠が滞りなく稽古や演技が出来るようにしなければなりません。そうして下積みのような期間を続けた後に、自分が舞台に上がって演技を行うチャンスを掴むことが重要です。

歌舞伎役者の収入は舞台に上がれば上がるほど多く得られる仕組みになっています。

基本的に一回の舞台に出演するごとに収入が得られる仕組みになっていますが、出番が少ない無名の役者は他の方法で生計を立てないと生活が成り立たなくなるほど収入が低い傾向にあります。

反対に世間で非常に知られるようなプロの歌舞伎役者の場合だと、一回舞台で演技を行うだけで数百万のギャラが発生し、年収にして数千万を超えることも珍しくありません。

歌舞伎役者の評判は非常に高いと言えます。

舞台に上がって演技を行うことによって観客を楽しませることが可能な上、活躍すれば年収も高くなるなど実力が高くなるほど生活が安定し、同時にやりがいを感じる職業となっています。一般から歌舞伎役者として活動するまでには大変な努力が必要ですが、努力を惜しまずに活動することで道が切り開けるでしょう。

歌舞伎役者の将来性はこれからも高まっていくでしょう。

プロの歌舞伎役者になることで様々な形の歌舞伎を表現することが出来るようになります。もちろん定番の演目も重要ではありますが、新しい形の演技を歌舞伎という形でいかに表現するかどうかは歌舞伎役者の演技力などにかかっています。

また、現在では歌舞伎役者の人材が不足していることも一因となっています。今も変わらず世襲によって役者が排出されている一方で、一般からも歌舞伎役者が排出される可能性も十分にあるでしょう。