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精神保健福祉士になるには

高校卒業後に受験資格を得るための最短コースは、4年制大学の福祉系学部などで「指定科目」を履修・修得することです。指定科目は20科目(うち、人体の構造と機能および疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システムは、1科目のみの履修・修得でも可)あり、すべて履修・修得すれば受験資格が与えられます。なお、指定科目のなかには210時間の実習も含まれています。
福祉系の短大(3年・2年)や専門学校(3年・2年)で指定科目を履修・修得した場合は、卒業後に3年卒は1年以上、2年卒は2年以上の実務を経験すれば受験資格が得られます。実務とは厚生労働省で定める精神科病院などの指定施設での経験を差します。ただし、このコースで資格を取得できるケースは非常に少ないといえます。
なお精神保健福祉士の受験資格が取れる福祉系大学でも、社会福祉士受験資格と精神保健福祉士受験資格の取得が選択制になっているところもあります。入学前にしっかりと調べておきましょう。

大学や短大に進学せずに受験資格を得るには、厚生労働省の指定する施設において、相談援助実務を4年以上こなした後に、一般養成施設で1年以上学ぶことが必要です。
ここでいう指定施設には、精神病院、精神科・心療内科のある総合病院、クリニックといった医療施設や、保健所、保健センター、精神福祉保健センターといった行政施設などがあります。
まずは、これらの施設に就職し、施設利用者からの生活相談などに応じる業務補助スタッフとして働きます。
実務経験を積んだ後には、精神保健福祉士の一般養成施設に入学し、精神医学や福祉行政についての知識を身につけます。
学校によっては、1年ではなく1年半~2年ほどのカリキュラムが組まれていることもあります。
養成施設において所定の単位を修得して卒業すると、精神保健福祉士国家試験の受験資格が得られます。このルートの場合、仮に国家試験に1発合格するとしても、資格取得までに最短で5年かかる計算になります。

精神保健福祉士の仕事内容

精神保健福祉士とは、精神障害のある人の生活を援助して、社会復帰をサポートする仕事です。
統合失調症や躁うつ病など、心に病を抱えてしまった人々を見守り、社会復帰に向けて生活に適応できるよう支援します。また、相談や指導を通して、自分の足で社会へ踏み出す力をつけることを手伝います。
利用者が持っている個性を引き出し、社会に出るためにどうすればいいかを共に考察しながら追究する「楽しさ」が魅力で、責任のある仕事ですが、やりがいも大きい仕事です。

心の病についてしっかりと理解し、1人の人間としてきちんと接すること。その上で生活や就労などがスムーズにできるよう支えることが求められています。利用者の心に寄り添い、個性を受け止めてあげられるような抱擁力と、精神医療等の知識が必要です。

仕事内容をさらに詳しくみていくと、医療費や生活費などの手配の紹介、公的支援制度の紹介、社会復帰ための日常訓練、会話の練習、就労支援、就職してからの職場への定着支援など多岐にわたります。

精神保健福祉士の収入

精神保健福祉士の給料は、おおよそ国家公務員と同じぐらいと言われています。毎月の基本給自体はそこまで高給とは言えませんが、その分手当やボーナスが充実している印象です。大卒の人が正社員で就いた時の初任給が20万円程度。そこからキャリアを積んでいくことで徐々に給料は上がっていき、総合的な平均年収としては300万円から400万円に収まるのではないでしょうか。一口に精神保健福祉士と言っても、勤務先や役職は多岐に渡るため実際の所は年収にばらつきがあるようです。

また、精神保健福祉士は正社員以外にも非常勤職としての求人も多く、その場合は時給換算となり給与は低くなりがちです。時給800円から900円というのも多々見られ、年収200万円以下という職員もいます。そういった実情から、最近政府が推し進めているダブルワークについても容認する職場が多いようです。
精神保健福祉士は国家資格ではありますが、苦労して取得した分に見合うだけの待遇が与えられるかというと難しいところです。

それでは、勤務先によって年収・給与に違いはあるのでしょうか。
まずは精神保健福祉士が勤務する職場として、一番割合を占める医療現場。総合病院や精神科病院、クリニックや小規模の診療所などがあります。大きな精神科病院だと平均年収は430万円程。公立の病院であれば、公務員の給料規定に基づいて算出されますので、安定した収入を得ることが出来るでしょう。地域の診療所勤務になると若干下がり380万円程度と言われています。

次に行政機関。地域にある精神保健福祉センター等の勤務になれば扱いは地方公務員となりますので、安定した昇給と基本給が与えられます。
民間企業や学校の場合は各々勤務先により給料に違いがあります。障害者支援施設等の福祉施設も併せて、平均年収は390万円程度。大企業や私立学校職員の場合は更に高額の給料が期待できますが、全体を通してみると医療現場より安定性に欠けます。

勤務先以外にも雇用形態の違いにより給料は大きく変わります。正社員としての採用であれば、ほとんどが公務員の給料に基づくと見て良いでしょう。一方で、非常勤での採用になると平均を大きく下回る恐れがあります。福利厚生や手当等も勤務先や雇用形態に大きく左右されますので、就職前に確認しておくことが大事です。

精神保健福祉士の評判

利用者本人やその身内の方、他施設職員、地域の役所の人や上司同僚及び法人上層部など、とにかく人と話し合いをすることが多い職業なので他者とのコミュニケーション能力が低い人はこの職業は少し辛く感じることもあるそうです。
また、利用者のできないことに対して解決するために段階的にアプローチをしていく必要があるので計画性の高さを求められます。 交渉力や人脈形成能力がある程度求められる仕事です。

障害を抱えているとはいえ利用者そのものの行動や考え方が理解しがたい場面もありますので、ストレスが溜まることもあります。ストレスを溜め込まない性格の人でないとこの職業は少し厳しいかもしれません。
また、組織によっては特定人物の意向ばかりが強く反映されることもあり、自己の考え方を仕事に活かす気力が無くなるような職場もない訳ではないので、職場選びが非常に重要になってきます。

精神保健福祉士の将来性

福祉施設での精神保健福祉士の仕事は大変重要なものとなっています。
グループホームやケアサービス、その他に救護施設や児童養護施設などの場所で、精神保健を専門にケアを行なっています。
また、現代は「ストレス社会」とも呼ばれ、社会に全体的に「心の問題」が蔓延していることでも知られています。そのため、これまで精神障がい者やそのご家族への援助を主な仕事としてきた精神保健福祉士ですが、最近ではそのような「心の問題」に対してアプローチして改善を目指すことのできるよう、さらなる積極的な取り組みが求められています。
具体的にはハローワークや教育機関などにおいてのメンタルケアや、一般企業で働く人のストレス対策を目的として、精神保健福祉士の雇用も始まっています。
今後も社会全体において、精神保健福祉士の職域が広がっていくことが予想されます。

掲載者情報

精神保健福祉士になるには
◆文責:七文(ななみ)
◆公開日:2017年10月30日 18:30
◆更新日:2020年03月17日 12:00

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