動物看護師になるには

上でも触れたように、動物看護師になるために持っていなければいけない資格はありません。

就職することができれば、無資格のまま働いて実務経験を積むことができます。 運よくアルバイトとして働くことができれば、資格を受験しないまま就職することもできるでしょう。

しかし今では、専門学校や大学に進学後、動物看護師の認定資格を取得するのが一般的となってきました。
というのも、2012年までは様々な団体が動物看護師の民間資格を運営していたのですが、その中の5団体が協力して1つの動物看護師資格の認定を始めたためです。

認定団体がバラけていたところから一つにまとまったことで、動物看護師資格の信頼性と価値はぐっと高まっています。
また、アメリカでは動物看護師は国家資格として制定されており、日本よりも専門性の高い高度な業務を任されています。
日本もペット大国として名を馳せてきていますので、今後は動物看護師が国家資格となる可能性も十分に考えられます。
就職のこと、また将来性を考えた場合は、やはり動物看護師統一認定機構が認定する動物看護師の資格取得を目指しておくのがおすすめです。

動物看護師の仕事は、主には獣医師のサポートですが、それ以外にもやるべき仕事はたくさんあります。おおまかな業務は下記のとおりです。

・受付窓口での対応や、会計業務などの病院事務に関すること。
・患者ごとのカルテの管理。
・器具の準備や片付け、動物の保定、検査、飼い主への説明など診察に関すること。
・病院内の薬の管理や発注に関すること。また処方された薬について飼い主さんへの説明。
・病院内の清掃、飼い主さんや患者(ペット)がリラックスできる環境づくり、診察や治療に必要なタオルや手術用の滅菌布などの洗濯および管理などそれ以外の業務。
・ペットホテルなどの施設がある場合は、散歩や餌やり、健康管理などのケア。

特に、動物病院においては、多くの場合ペットの不調などで不安になっている飼い主さんとコミュニケーションをとって安心してもらうことも動物看護師の大切な仕事です。ほとんど診察室や処置室の中でしか顔を合わせることのない獣医師よりも、接する機会の多い動物看護師は来院する飼い主さんにとって話がしやすく、時にはとても心強い存在になりえるのです。

動物看護師と一口に言っても、動物病院なのか、動物園なのか、ペットホテルなのか、その施設の特性や規模によって働き方は異なります。それに伴い、当然年収も違ってくるのですが、動物看護師という職業に従事する人全体の平均年収を計算してみた場合、その金額は約320万円～約340万円と言われています。
この金額にはボーナス等も含まれますので、平均月額給与としては20万円ほどのことが多いようです。
また、この金額は同じ動物に接する仕事であっても、業種によっても多少差が出ます。
ここにその一例を挙げてみます。

動物病院：
約280万円～約350万円

動物園：
約290万円～約330万円

ペットホテル：
約270万円～約340万円

動物保護施設：
約260万円～約320万円

こうして見るとやはりいちばん活躍の場や就職先として動物看護師が選ぶことの多い動物病院が、平均年収も高めであると言えそうです。また、平均年収が高いことを理由に、動物病院を選ぶという人もいることが考えられます。

動物看護師のやりがいは、人によって、また働く場所や施設によって異なります。
今回は、動物病院で働く場合のやりがいを主に考えてみましょう。
動物病院では、「動物の命」と常に向き合うことになります。何らかの不調や病気、けがを負った動物たちと、その動物を連れてくる不安でいっぱいの飼い主さんと、受付で最初に対面するのも動物看護師です。いちばん最初に飼い主さんと話をし、来院時点での動物の状態を把握して、時にはその不安を少し和らげてあげることができる立場でもあります。

その後、直接診察や治療をするのは獣医師ですが、その獣医師と協力して動物たちの回復に努め、動物たちを元気にしたり、その命を救ったりするのが動物病院での動物看護師の仕事です。回復した動物たちの元気な姿や、喜ぶ飼い主さんの笑顔は動物看護師として働く上で、この上ないやりがいになるでしょう。

こうして数多くの現場をこなしていくことで、動物看護師は動物の不調や変化などにいち早く気付くことができるようになります。その経験が危険の回避や、病気の早期発見につながり、更には動物たちを救うことにもつながっていきます。
また、直接治療や手術に立ち会わない場合でも、不安を抱えて来院する飼い主さんや動物たちとコミュニケーションを取り、彼らがリラックスできるような院内の環境を整えることもやりがいにつながります。それらは直接動物に触れなくても、飼い主さんや動物たちの確かな助けになるものです。

前述のとおり、看護師の仕事は多岐にわたります。忙しい中で上手く立ち振る舞うには努力も根気も時間も必要になります。体力的にハードだったり、どうしても助けられない患者と対面したりして、苦しいときや、辛い気持ちを味わうこともあるでしょう。それでもそうして得た経験や努力は確実にその人を成長させていきます。

苦しい思いをしている動物たちの命を助け、苦痛を和らげて、不安な飼い主さんを少しでも安心させること、そのサポートができること、更にその中で自分を磨くことができるのが動物看護師のやりがいと言えます。